書籍編集者のメモ帳

ビジネス書、新書、実用書、その他、非文芸系書籍編集者のメモ帳ブログです。

出版不況の主要因は雑誌の落ち込みだ。
その雑誌崩壊の原因はインターネットだろう。

雑誌は広告で成り立っていたが、それがインターネットにとられた。

そもそも、雑誌は知識のまとめ読み媒体として優れていた。
テレビやラジオは送りっぱなし〈放送〉というくらい、一瞬の情報で、集積は難しかった。
だから雑誌のような週刊だったり月刊だったり、ある程度の期間の情報を整理、蓄積したうえで伝授してくれる媒体は重宝した。
そんな雑誌に広告が掲載されていたら、ついつい買ってしまうのも道理だ。

しかし、インターネットの発達によって、そのまとめ読み機能の魅力が薄れてしまった。
インターネットによる、無期限の情報蓄積と、読者のニッチな要望にも答える利便性は雑誌よりも魅力的な面がある。
広告もよりターゲットに接近しやすいインターネットにとられはじめた。

こうして雑誌市場はジリ貧になってしまった。

だが、一方で書籍市場はそれほど落ちているわけではない。
これは書籍特有の事情による。
文芸を例にするとわかりやすい。

ある特定の書き下ろし小説を読もうと思ったら、その書籍を買わざるをえない。
他に代替する商品はないからだ。

つまりインターネットに負けない書籍を作るには、代替のきかないオリジナルにする必要がある。
雑誌の延長線のような企画や二番せんじものは代替がきいてしまう。

代替のきかないオリジナリティ、これを念頭において企画は考えたい。

編集者にとって重要なのはロジカルかセンスか?

これは難しい問題。
両方とも優れているのが一番いい。

ただ、両方ともそこそこなら答えは明確だ。
ロジカルに優れている方が断然いい。

そこそこのセンスにはロジカルで対応できる。
編集者は論理的に書籍のことを考え、ものごとを組み立てていかなければならない。

なぜ、そこそこのセンスではダメなのか?
ライバルが多いうえ、センスは水ものだからだ。
再現性に乏しければ、ヒットを作り続けることはできない。

一方、ロジカルを確立していれば、再現性に苦労はしない。コンスタントに結果がでる。
よく年齢が上がるとともに、ヒットを作れなくなる編集者がいるが、それはセンスで勝負してきたツケだ。加齢によるセンスの変化が読者とのズレを生み出してしまう。

まあ、とはいえ、一番いいのは両方とも優れていること。

慣れないうちはロジカルを中心に鍛え、それからセンスを磨くようにするといい。

実はこれ、著者にとっても同じことがいえる。
つまり、本作りはロジカルを基礎にセンスで爆発が基本法則ということだ。

基本的に文章に接続詞はいらない。

接続詞は、文脈を明確にするためのお手伝いさんだ。
もともと文脈がしっかりしていれば、接続詞を使わなくても意味は通じる。

文章力に自信がないうちは意識して接続詞を使わないようにするといい。

否が応でも、きれいな読みやすい文脈を作成できるようになる。

特に、そして、しかし、また、の三種類には注意が必要。
そして、また、は順接と並列の接続詞なので、わざわざ使う必要はない。使わなくても意味が通じるレベルの文脈を作成できないと、プロとしては物足りない。

しかし、については使い方と頻度に気をつけたい。逆接の接続詞なので、前後の文章は反対の意味にならないといけない。この反対具合が中途半端だと、読者の混乱のもととなる。

基本は接続詞を使わずに書き、文脈を強調したいところや、どうしても使わないと文脈がすっきりしないところのみに使おう。

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